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バーガンディ・バイヤー アダム・ブラントゥレットによる 2019ヴィンテージ・レポート

Burgundy 2019 Vintage Report by Adam Bruntlett
バーガンディ・バイヤー アダム・ブラントゥレットによる 2019ヴィンテージ・レポート

 

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Burgundy 2017 Vintage Report by Adam Bruntlet

濃縮感とフレッシュ感を合わせ持つ2019は、自信を持っておすすめできるヴィンテージです。

ロックダウン、パンデミックといった言葉が頻繁に使われる世の中になる前、ブルゴーニュの人々はまた別のかつてない現象に直面していました。
それは、かつて無い程の高い熟度と酸度です。
この干ばつに見舞われた一年間に、力強い酸味に、完璧な熟度と結晶のようなピュア感という相反した謎のコラボレーションに晒されていたのです。
私たちのパートナーである生産者たちが、どうしてこれ程までに暑く乾燥したヴィンテージに、これほど快活なワインが造ることを成し得たことに不可解に思います、その出来映えに本人たちは大いに満足しています。
したがって、2019ヴィンテージは安心してご購入頂けます。

Benjamin Lerouxによると、赤も白も問わず素晴らしいヴィンテージとなったとのことです。
全地域、全格付けに、質の良いワインがたくさんあります。スタイルにはもちろん多様性があり、予算、またワインの好みが決まっている方にも、ニーズを満たすワインに2019ヴィンテージはなりました。

かなり収量が多かった2017、2018の後、2019は2000年代の中頃と似ているほど、収量は多くありません。とは言え、生産者は現代の経済状況を鑑み、価格を安定させ、2018のレベルに抑えています。

【2019生育期】
平均より日照レベルが高いわりに、収穫が遅く、9月の初めに始まりました。乾燥した冬の天気がヴィンテージの基調となり、早い段階にCote d’Or, MaconnaisよりChablisには雨量が多かったことが挙げられます。また、4月上旬には霧が現れ、主にCote de Beauneの南部、特にChassagne-Montrachetに影響を与え、結果として各ヴィラージュレベルの収量に反映されています。 6月の開花に天気が涼しく雨も多かったことからピノノワールよりシャルドネが影響を受けました。花ぶるい、ミルランダージュが発生し、これによって斜面中央部のプルミエ・クリュに一番の悪影響を与えました。この時点で、すでに収量が少ないヴィンテージと予想が立てられる様になりましたが、6、7月の暑い天気によって更なる減量が予測されました。8月、日照が多くありましたが、前の月を超える暑さはありませんでした。 Maconnaisは、6月同様平均より雨量が多く、Cote d’Orは、平年並みでしたが、Chablisは僅か20mmで平均値の半分近くに留まりました。水不足によってブドウの木がストレスを受け、収量がさらに減らされ、結果としてブドウジュースがより濃縮されました。

【収穫時期】
Maconnaisでの収穫が口火を切り9月6日に始まり、Cote d’OrとChablisが数日後にそれに続きました。伝統的な「開花から100日後」よりも10〜14日も早まったことになります。 Cote de Nuitsでは、一部の生産者は9月中旬まで遅らせました。なぜなら異常な天気によってフェノールの熟度が遅れていると判断し、時間も、おそらく雨も必要だと判断したことによります。結局、雨はあまり降りませんでしたが、余計なアルコールやリッチ感はこの遅めに収穫されたワインには感じられません。収穫された果実が濃縮感があり、皮とジュースの割合が高く、酸度も高く、糖度も通常より高かったのですが、2018の一番極端なレベルには及びません。 pH値は低く、より強い酒石酸の量がリンゴ酸より多かったことが挙げられます。pH値が変わらないままワインに残り、酒石酸がマロラクティック発酵によってより柔らかくてクリーミーな乳酸となり、これがワインのクリーミーなキャラクターを与えます。酒石酸の高いレベルによりフレッシュ感を際立たせ、13.5〜14.5%のかなり高いアルコール度数とバランスを得ることになります。

【展開と傾向】
2018より醗酵はかなりスムーズに行われました。例外もありますが、私たちのパートナーである生産者たちは、短いエルヴァージュか、2回目の冬に樽からタンクにワインを移動することにしていました。その目的は、フレッシュ感を守ることと、樽による余計な強い影響を乾燥した感触に加えない為でした。 全房を使用する傾向が多い中、その使用によってフレッシュ感が加わるかどうかの討論も続いています。ある全房を使用する生産者は、この熟したヴィンテージでは、その酸度が低くならない様に全房の量を減らしました。また別の方法では、全房を施す際、枝の中央部を外すことでした。Arnaud Mortet、 Thibault Liger-Belair、 Domaine de la Vougeraie、 Jean-Pierre Guyonはこの方法を適度に行っています。なぜなら、この良い太い枝を外すことによって、より粗いタンニンの追加を防ぐことが出来るからです。 この暑く干ばつに見舞われたヴィンテージの対策として、ブドウ畑ではその革新が至る所で見受けられました。その多くは、ブドウを影にするための林冠の剪定でした。過去にはブドウの木はかなり低めに剪定し、良い熟度まで上げる為に、葉も外すことも少なくありませんでしたが、現代では、日焼けを防ぐために影を作り、熟成進捗を調整する為に行われます。

【2019の赤】 赤ワインは素晴らしい出来です。タンニンが2018より少し熟しています。14%前後のアルコール度数で、pH値が低いことによって酸度が高く、典型的なブルゴーニュのフレッシュ感を保つことが出来ています。バレルテイスティングの段階ですら、かなり飲み応えを感じますが、素晴らしいバランスと濃厚な果実味の味わいが中・長期的な熟成のポテンシャルを約束しています。

【2019の白】
白ワインも興味深く、熟した果実味がありながらも高い酸度がバランスを取り、2014、2017といったシャルドネが特に良かったヴィンテージに比肩します。かつてない高い熟度と高い酸度に生産者たちは驚きを隠しませんでした。こんな暑くて乾燥した栽培期に、このようなバランスを取ることが出来ることは非常に著しい発展と言わざるを得ません。

【おすすめのアペラシオン】
以前より野生感で知られている地区Santenay、Pommard、Aloxe-Cortonそしてさらに有名なNuits-Saint-GeorgesとGevrey-Chambertinは上出来です。甘くてジューシーなタンニンが多汁感を与え、非常に魅力的な仕上がりで、おすすめです。 一方、より涼しい地区 Hautes-Cotes、Auxey-Duresses, Saint-Romain, Saint-Aubinでは、より暖かな環境によって印象的なワインに仕上がりました。雨の量が比較的多かったMorey-Saint-Denisは、特に期待を超えた出来映えでした。